第22回 府中文化村

「今、求められるリーダーシップ力と補助金の活用とは

 

【2016年03月28日開催】

今回の文化村は2015年9月17日第16回府中文化村にて大好評の講演を行っていただいた府中市工業技術情報センターの所長である鈴木所長に「リーダーシップ力と補助金の活用」をテーマに再講演いただきました。

鈴木所長はこの2016年3月をもってセンター所長を退任することとなっており、今回の府中文化村での講演が府中市工業技術情報センター所長としての最後の講演となりました。

鈴木所長としての府中での最後の講演が私たち府中文化村の講演となったこと、非常に嬉しく思います。またこうした人とのつながりが持てたことに感謝致します。

 

さて、今回のレポートは鈴木所長ならではのリーダーシップ論について感激したポイントをご紹介したいと思います。

過去の第16回府中文化村(2015年09月17日開催)を簡単に要約させていただくと、東京は日本の経済の中心となっているが、そのまた中心は事業所数とその規模のデータから読み取るに大企業と呼ばれる従業者数の事業所は全体の1%にも満たず、99%以上が中小企業となっているという事実が東京の特徴・現状とされています。

こうして『中小企業が元気なくして日本の元気はなく、ここに日本の景気回復の糸口が必ずある』というお話でした。

(第16回レポートはこちら

 

まず、府中市の特色はというと東芝やNECなど電機系大手メーカーの存在が大きく、電気機器製造業は日本でも稀な産業集積地となっています。H23年には「電気機器」では地域産業資源として認定されています。

従業者数でも都内区市町村で比較しても6番目に多く、驚くべきことは大田区・日野市と比較すると年度別製造品出荷額はH18年以降、大田区・日野市が減少傾向に比べ府中市は増加傾向で、都内で5年連続1位

となっており他の区市に比べ安定している状況となっています。

 

しかし、国内経済環境の実体としては政府が言っているほど勤労者の所得は増加しておらず、購買意欲もわかず地価も高くなっていないため厳しい経済状況・経営状況に変わりはないと鈴木所長は言います。

そこで「活かせる資産」(①人②モノ③金④情報)を生かす必要があります。(このイベントレポートでは①人について取り上げます)

 

①人:発揮しよう、リーダーシップ

産業能率大学の2015年度新人社員対象の「理想の上司」アンケートより、

1位:松岡修三(やる気を出してくれそう)

2位:池上彰(豊富な知識や身近な目線での説明力)

3位:イチロー(努力を怠らず正確な情報力の職人肌)

・・・

以上から、鈴木所長は『リーダーとしての共通項がある』といいます。

このリーダーシップ像を読み解く手掛かりは『ゴルフ戦術』にあるそうです。

・ゴルフ戦術から学ぶこと

○1番=ティーショット【周到な準備と技術力の向上】

※準備不足、技術力不足=良い結果は望めない

○3番=グリーン上のパット【耳を傾け情報収集し正確な状況判断】

※キャディのアドバイスに耳を傾ける。自己判断だけでは危険

○9番=プレーの進行【パートナーとの良き雰囲気作りとアシスト】

※折角のプレーであり、仲間と一緒に楽しむことが大事

○10番=プレー者への気遣い【現状に即した的確判断・支援】

※寝不足や運動不足はケガのもと。仲間の安全への配慮

○12番=トラブルショット【トラブル対応への課題解決力】

※環境・状況を判断しないとトラブルが大きくなる。適切な意志決定

○15番=ショートホール【リスクを配慮した挑戦・チャレンジ】

※池越えを恐れていてはグリーンに乗らない。目標への挑戦

○16番=ドッグレッグ【先を読んだ戦略と意志決定】

※先を見ない強行突破は、更に深みに(先をみること)

○18番=スコアー【結果には正確にそして責任を持つ】

※過少申告(ミスコンダクト)は失格。自己責任結果は次へのチャンス

 

上記、ゴルフの一連の流れからリーダーに必要な7つのポイント・姿勢が発見できるというのです。それは・・・

 

経営者「LEADERs」実践のすすめ

・人の話・忠告を良く聞いて情報分析:【L】isten

・事前の準備と専門技術の向上   :【E】ducate

・仲間の状況や安全に配慮・連携強化:【A】ssiste

・実行・実践の判断し、意志決定  :【D】ecision

・場面によっては果敢に挑戦し   :【E】volution

・結果には責任を持って      :【R】esponsibility

戦略を立てて実践に望む     :【s】trategy

⇒【LEADER(s)】リーダーはこれらの姿勢を持つべきだと鈴木所長は結論づけます。

この鈴木所長ならではのリーダーシップ論は非常に面白いお話だと思います。

Lead(導く)は他者をある場所や目的に連れていく(Bring)ことや案内(Guide)することと違い、先頭に立って連れていくだけでなくその他者の自発的・革新的行動や振る舞いなどを含めた実践的な面でも自律と覚醒を促すことができなければならないのではないかと思います。

それ故に、力で従わせただ他者を動かすのでも、すべてやってあげるある種の甘やかしや過度なお膳立てだけでは人は導けないのではないでしょうか。

そこに信頼に値する行動や意志決定力、自らも人の話を聞く情報分析力、他者への配慮やコミュニケーション力と実践力に加え、さらにより善い活動への覚醒を促すような教育的な視点という中庸が必要です。

道徳哲学的になってしまいますが、教育的視点も併せもたなければならないが故に、善い人間、善い指導者でなければ善い部下、善い仲間を得ることも不可能なのだと私は感じます。

 

鈴木所長は4月より、府中を離れ板橋区の産業経済部産業振興課にてご自身の経験を生かし今後も企業活性化専門員としてご活躍されるそうです。

今後も地域企業の活性化・日本の活性化を支えてくださいます。地域で何か活動したい、または補助金を利用したいとお考えの方は是非府中市工業技術情報センターや板橋区産業経済部産業振興課へ足を運んでみてはいかがでしょうか。