第20回 府中文化村

「特許・発明の儲かる話

~五輪エンブレム、似てるの?似てないの?~」

 

【2016年01月21日開催】 

2016年最初の府中文化村は調布にある相原特許商標事務所の相原礼路弁理士による特許・発明のお話です。

特許や商標によるお話に加え、最近話題となった2010年東京オリンピック公式エンブレムの盗作騒動の問題もわかりやすく解答していただきました。

 

まず、「特許権」とは「物」「方法」「製造方法」これら三つの発明のことで、もちろん誰にも知られていない(新規性)、簡単に思いつくものでない(進歩性)という条件を満たし、且つ特許庁へ誰よりも早く申請し審査を通らなければならないという権利だそうです。

ここで驚かされることは、例え自分の発明した技術や商品であっても「特許申請する前にCMや他の広告媒体で世に知らしめてしまうと、それが他の誰もやっていないことでも(新規性)というカテゴリーに当てはまらなくなり、特許取得ができなくなる」そうです。

その他、物の発明のみの権利で審査が不要の「実用新案権」、デザインの特許と呼ばれる「意匠権」、マークやデザインと商品やサービスのセットでの権利となる「商標権」、「著作権」があるそうです。

これらは普段話の中でよく聞く権利名ですが、特徴や対象によって権利の種類が変わってくることがわかります。

これから権利申請の機会がある方は、それぞれの特徴と申請のタイミングで注意する点を確認しておく必要があると思います。

 

さて、それでは日本中で話題となった五輪エンブレム似てるのか似てないのか騒動ですが、

これは一体どうなのでしょうか。

そもそもの話を整理すると、2020年東京オリンピックのエンブレムとなったものがベルギーのリエージュ劇場のロゴマークに似ていると、相手方のデザイナーが使用の差し止めを要求してきた(訴訟していない)というお話です。

相原弁理士によると、これはどう見ても「似てない」と言います。

まずこのエンブレムやロゴマークについて見ると四角と円・丸のみを使った簡易なデザインで、誰にでも思いつくかもしれない容易性があり、とても新規性と容易性の面では革新的とは言えないこと。

また、このベルギーのリエージュ劇場のロゴがそもそもそこまで有名なもので、誰もが知っているものだったかということ、例えばデザインなどの著作物は著作者本人が意図しないところで何かにインスパイアされてしまっており、どこかで偶然同じようなデザインを考えついてしまうこともないとは言えないとのことです。

今回の件でいえば、五輪エンブレム採用に伴い大々的に似たものがないか、権利を侵害していないかは調査されていた中での事件であり、たまたま五輪エンブレム著作者が過去に盗作や模倣をしていたとみられたことで今回は使用の差し止め、エンブレム差し替えとなってしまったのです。

通常であれば、使用の差し止めを要求してきたデザイナーに対し、模倣しているという訴えに名誉棄損などの措置もとれる行いだと言います。

 

 

特許や発明で儲かる話というテーマでしたが、まず権利として認めらるような発明をすることや、それが権利として認められるにはなかなか容易ではないこと、さらに権利取得してもその後ランニングコストがかかるということにおいて、やはり特許や発明で儲かるには難しいところが多いようです。

こうした権利は本来、権利者の発明や技術を守るためのものであり、こうした権利を行使する場面というのは訴訟となった場合くらいとのことです。

 

ですが、自らの発明やデザインは権利によって保護し、発明者やデザインの創造者の意図するよう、適切に使用されるように保護することが著作物に対する思想的敬意であるとともに

逆に自分が誰かの権利を侵害しないように、最低限のマナーやルールを学ぶ必要があると感じました。

 

下記、講演中に出題されたクイズです。

みなさんも是非考えてみてください(全て商標権などはありません)

 

Q1.他人のパンフレットの図案を、Webサイトにコピペして使って良いか?

Q2.講演やセミナーに使用するだけなら、資料として本をコピペしても良いか?

Q3.他人の写った写真をWebサイトに使っても良いか?

Q4.キャッチフレーズなら、まねして使っても良いか?

※答えはこちら

 

上記の答えの他、特許や商標に関する詳しいお問い合わせは今回の講師である相原弁理士の相原特許商標事務所へご相談ください。

http://ai-pat.com/