第16回 府中文化村

講演・交流会

「中小企業の元気なくして日本の再生なし

~中小企業の企業元気力の6つのキーワード~」

【2015年09月17日開催】 

現在日本はデフレ社会で、このデフレ脱却に向けた政策の是非や、日本経済の早急の回復などが嘆かれています。今回の講演は府中市工業技術情報センターの鈴木所長をお招きして、現在の日本経済から中小企業のこれからの可能性、日本の元気・再生には何が必要か非常に興味深いお話をしていただきました。

 

今の日本経済の状況は「円安」「法人課税」「自由化の遅れ(TPP)」「温暖化対策」「電力・エネルギー危機」「少子化」「雇用機会の減少」「デフレ」「国の借金(債務1000兆円)」という9重苦となっており、今や大企業でも倒産する現実となっているというのです。最近になって新規上場企業数が廃止企業数を上回っては来ているものの、景気回復に向けてリストラなどによる過剰な経費削減で売り上げをカバーしている現状が本当の意味での景気回復になるのかという課題が残ります。

それでは景気回復のカギはどこにあるのでしょうか。鈴木さんによれば「中小企業の復活」がカギだと言います。鈴木さんによれば、東京だけでも数ある企業数・事業所数のうち92%が20人以下の小規模企業が占めており、日本の企業数は「中小企業が企業数を支えている」ということが見て取れます。このことから「中小企業が元気にならなければ日本の企業は元気にならない」という現状なのです。

ここで今回の講義テーマのサブタイトルにもなっている、この中小企業の元気力増進に向けて企業がとるべき「6つのキーワード」が出口戦略として出てきます。

その6つのキーワードとは、

1.新価値創造

:廉価で大量生産では国内で対応することができない時代となっており、今は視点や仕組みを変化させ、高付加価値商品のビジネスモデルを作る

2.イノベーション【中小企業型】

:環境の大きな変化に対応でき、これまでのやり方を変えるような革新的な製品を作ること。しかし、科学技術を最大限活かす新製品を作ることは難しいので、新しい機能や性能・アイデア・工夫・価値、または顧客ニーズに最大限対応し、他との差別化を図りながら環境変化に対応する新市場を開発するようなイノベーションを起こす

3.支援策の活用【パラサイトの脱却】

:企業の弱体化を防ぐために補助金や融資などの支援策では企業の自助努力を低減に繋がってしまうため、製品販売力や受注確保などの企業基礎体力を強化することを目的とした助成金や企業努力をすることの必要性。中小企業の元気が損なわれないように企業の自立化・パラサイト状態からの脱却が必要で、そのために行政などの企業活性化助成事業を活用すること

4.経営者ビジョン

:経営理念を再考し、長年続く老舗企業経営からその真髄を学ぶことの大切さを認識する。変化に対応することも大切だが、身の丈に合った事業展開で経営ビジョンをしっかり保つこと

「感謝(か)」「勤勉(き)」「工夫(く)」「倹約(け)」「行動・貢献(こ)」この家業(か行)の維持が大切

5.連携【産学官・農商工】

:産学官連携を積極的に取り入れることも大切。しかし、大学の研究などは開発課題や目的・成果をはっきり示し大学の研究開発との「住みどころの違い」「特許など、権利化しておくこと」を忘れず、計画的に行う必要がある

6.販路拡大

:昨今の時代はどんなに良い製品を開発しても販路・販促戦略を考えなければものは売れなくなっている。インターネットの活用や広告力の強化、サービスの差別化などにより「出口を意識した販路開拓」が重要で、「いかにして知ってもらえるか。いかにして売るか」の戦略を立てること

 

中小企業診断士であり、企業支援に長年従事されてきた鈴木所長の経験や緻密な情報力により導き出されたこのキーワードは非常に納得のいくものでした。しかし、こうしたキーワードに精通する知識やこれに付随する戦略を立てることは今の枠組みや会社内で意外と難しいというのが現状ではないでしょうか。

そんなときに行政の支援センターを最大限活用することが近道だと思います。

各市区町村、国でもこうした支援策や情報は手の届くところにあるのです。中小企業が活性化することに日本の景気回復の糸口が必ずある、そう理解させてもらえる貴重なお話でした。


さて、みなさんは府中市工業技術センターをご存知でしょうか。府中駅北第2庁舎にある市の施設で、こちらでは鈴木所長を筆頭に府中の元気のある中小企業の情報からビジネスマッチング、また助成金や補助金の事業相談なども親身に行っており、この6つのキーワードを意識した手厚い支援が受けられるはずです。

まだまだ私たちの知らない府中の元気ある企業の情報も、まだまだ知らない会社や事業支援については是非ともこの府中市工業技術情報センター、まずは足を運ぶだけでも訪れてみてはいかがでしょうか。


また、私たち府中文化村もこの6つのキーワードに即して、革新的なアイデアやネットワークを用いて府中市から日本の元気を後押しすることができるよう、また企業の元気力向上のため連携モデルになれるよう発展していくと同時に、府中市から元気を発信できる団体を目指していこうと思います。